MJ

アン・タイラー

nijimu2003-10-17

今更アン・タイラーなぞ読んでおります。白状すると、タニス・リーと混同してまして(どうして!?)数年前に他の方からお勧めされたというのに「どうしてタニス・リー?」と不思議に思い、放置状態にしていたのでした。
確か、書店で『歳月のはしご』を見つけて購入して積ん読状態にして二年あまり。どうやらタニス・リーとは違うらしいことは分かりました。しかし、有閑マダムの気まぐれみたいな粗筋に手を出しあぐねていたのです。先日ブックオフで今まで手に入らなかった『ブリージング・レッスン』を手に入れ、改めてもう一冊、文春文庫のアン・タイラーコレクションを入手して読み始めたんですが、いや、びっくり。思っていた以上に面白いし、実に文章がうまいですね。会話や何気ない仕草や行動に回想シーンをあしらって話をぐんぐん引っ張っていく。どうってことない主人公とストーリーだというのに、そこから抜けられなくなってしまいました。『歳月のはしご』に続いて『ブリージング・レッスン』を読んでますが、これがまた面白いのなんのって。日本でもどこにでもいるようなおっちょこちょいでお節介焼きのおばさんの一日だというのに、最初は嫌悪感いっぱいだったこのおばさんが可愛く思えて来ちゃうのですよ。

難しい表現も無いので、何か読むのを探している人にはお勧めです。三十代半ば〜四十代の既婚女性(子供アリ)だとずんずんとボディブローのように効いてくる小説でもありましょう。自分のことを振り返って、まあ、つまんない人生だけど、そんなに悪くないんじゃないかな、という気分になってきますね。

残念なのは、絶版の多いこと。文春文庫から出ている「アン・タイラーコレクション」にしたって、まともに手にはいるのは二冊程度。