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古屋兎丸『π』3巻

だ、ダメだー。何だ、このギャグの爆発っぷりは。もう、次から次へと笑いどころが出てきて参った。話は、2巻の最後に出てきた強敵との闘いが本格化したという話なのだけれど、最初の方だけ読んで念のため最後の方のページをちらりと見たら、「あれ、これって別の作品が同時掲載だったかな」と勘違いしてしまった。だって、リーゼントのバリバリの暴走族風の男二人がバイクに乗って競い合ってるんだもの。

πクラブを設立し、顧問(?)まで見つけてやる気満々の夢人の前に、加藤鷹士(これって有名AV男優の名前からとってるの?)という手強い男が現れる。彼は、可愛い顔を武器にして女の子の警戒を緩め、その隙をついてバンバンヤってしまうという、人非人なのだ。加藤は当然のこと、彼らのアイドル田村じゅんに目を付ける。どうする、夢人!

今回はじゅんちゃんの活躍はほとんど無い。だって、薬で眠らされちゃってるから。加藤は、ただの人非人ではなく、こんな顔してかなり過激な暴走族のヘッドをやっているらしい。子分たちを使ってじゅんちゃんを攫うが、危機一髪で夢人が助け出す。かっこいいぞ!夢人。そのまま鷹士との首都高バトルへと流れるが、ここでまた夢人の超人的な頭脳が発揮される。バイクに乗ったのは初めてで、貸してくれた美術の先生(元レディース)に河原でちょこっと教えて貰った位なのに、加藤をお手本にして吸収し、みるみる間にうまくなっていくのだ。これは頭の良さと勘の良さと共にオタク故の細やかさなんかも功を奏してるのでは無いだろうか。そしてバトルにとうとう勝ってしまった夢人は…。なーんでこんなコトをするのかねえ(笑)。

対決中は、何故か千聖とタンデムしているのだが、どう見てもこれはただの足手まといだ。しかし敢えてこうするのは、勿論千聖をネタに使うためだ。さすがに真剣勝負のバイク運転中は夢人に隙を作らせる訳にもいかないためか、千聖が思いっきりイジられている。バランスを取るために頭を地面にごりごりこすりつけるなんて朝飯前だ!もう、このテンションの高さと、夢人に尊敬されているはずなのにこれでもかというほど貶められる千聖コントラストが、もう最高。そして、彼らの対決を追いかけて観戦する美術の先生もまた、うまく第三者の目として解説をしてくれて、間接的に突っ込みを入れている形になっているのがうまい。

二巻目までも勿論面白かったんだけれど、物語としても、この巻で思いっきり化けた感じ。これだけのクオリティの絵でこれだけ面白い作品を描けるって、なんかもう、すごい、すごいというしかない。次も絶対買うし、買ったその日に読んでしまいそうだ。三ヶ月ごとに出ているようなので、次は年末かな。楽しみだ。ただし、買ってすぐ、電車の中で読むのがはばかられそうなのが残念(笑)。